城下施設長 新年のご挨拶

 新年あけましておめでとうございます。

 国民健康保険依田窪病院の病院長、および、依田窪老人保健施設いこいの施設長を務めております、城下智です。

 20244月より、両施設の運営を引き継ぎ、地域医療と介護の発展に尽力しております。

 長野県は、全国的にも平均寿命と健康寿命が高い水準にあります。具体的には、男性の平均寿命は82.4歳で全国2位、女性は88.3歳で全国4位です。さらに、健康寿命においては男女ともに全国1位であり、男性は81歳、女性は85歳と報告されています。こうした背景には、地域の健康意識の高さや医療・介護体制の充実が寄与していると考えられます。しかし、日本全体、さらには長野県、そして私たちの暮らす地域も、高齢化と人口減少という大きな課題に直面しています。特に長和町や上田市武石地区では、高齢化率の上昇と働き手世代の減少が顕著であり、日本全体の縮図とも言える状況です。

 当院では、こうした課題に対応するため、地域に根ざした医療と介護の一体的な体制の整備を目指し、2025年を見据えた取り組みを進めています。これからも地域の皆さまにとって欠かせない存在となるべく、病院と老健が一体となって尽力してまいります。

 2025年に向けた具体的な取り組みとして、以下の5つの重点項目を掲げています。

 

1.内科診療体制のさらなる強化

 2025年も、当院の内科系診療は倉澤内科科長と後藤総合診療科科長が中心となり指揮を執ります。これまで築き上げてきた診療体制を基盤に、諏訪中央病院から新たに内科総合診療を専門とする医師を迎え、地域全体での診療の幅をさらに広げます。また、鳥取大学で家庭医療プログラムを修了した家庭医を迎え、病院診療だけでなく在宅医療や長和町・上田市行政との連携を深めてまいります。依田窪病院の訪問看護ステーションや居宅介護支援事業所と連携し、患者さまの在宅復帰を支える体制を一層充実させることで、地域医療のトップランナーとしての役割を果たしていきます。

2.整形外科診療体制の充実と発展

 長野県が進める医療提供体制の「グランドデザイン」において、当院の整形外科は一部の診療領域に特化した機能を併せ持っており、地域型病院として担う重要な役割を果たしています。滝沢脊椎センター長を中心に、低侵襲手術である脊椎内視鏡手術を主軸とし、2025年春からは局所麻酔下での「超」低侵襲手術も導入予定です。この手術により、超高齢者や全身麻酔が困難な患者さまでも治療が可能となり、入院期間の短縮や早期のリハビリ、社会復帰が実現可能です。こうした整形外科の取り組みは、超高齢化社会における地域医療の課題解決に直結するものであり、当院の責務を果たす重要な一歩です。

3.医療と介護の連携強化

 医療と介護の連携は、地域包括ケアシステムを実現する上で不可欠です。当院と老健いこいは、病気やケガによる入院治療と、在宅復帰を支援する介護の橋渡しを一体的に行う体制を構築しています。特に長和町では、行政の組織再編により、医療と介護を担当する部署が保健福祉課として統一されました。また、へき地拠点病院として、上田市武石診療所を担当しており、診療所を中心とした地域医療や介護についてもさらに連携を強化してまいります。医療と介護の連携強化により、住民が安心して暮らせる地域社会の実現を目指します。

4.健診事業のさらなる充実

 健康寿命を延ばすためには、健康診断による早期発見・早期治療が欠かせません。当院は、長和町・上田市行政と連携し、健診事業をさらに拡充させていきます。特に、住民全体が気軽に受診できる体制を整え、予防医療を地域に根付かせることを目指しています。

5.住民の一番の安心となる地域医療

 万が一の時、地元の病院として救急対応ができるということは地域住民にとって大きな安心につながります。医療を必要とする人なら誰でも利用でき、地域の皆さんが安心して暮らせるまちづくりに貢献したいと考えています。

 

 これらの取り組みを通じて、依田窪病院と老健いこいは、地域の医療・介護の中核として、住民の皆さまの健康と生活を支える存在であり続けます。2025年が皆さまにとって素晴らしい1年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。